たまに貰えるブログ読んでるよ報告からやる気を補充しております。みなさま今後とも何卒宜しくお願い致します。
今回は香港・深圳旅行3日目、本題のElecrow訪問とかのお話。


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この日の目的は以下の3つ。
  • 帰国ルートの確認(退路の確保)
  • Elecrowオフィス訪問(今回の本題その1)
  • 深圳の巨大電気街・華強北探検(今回の本題その2)
旅程3日目にしてようやく本題の登場となる訳ですが、なんのこっちゃと思われそうなのが目的その1。
「ただ来た道を戻るだけでしょ、わざわざそんなことして何の意味があるの」と言うツッコミを受けそうですが、これにはちゃんと理由がありまして。
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赤矢印で示すのは陸上ルート。ひたすら地下鉄を乗り継ぎ、福田口岸から香港へ戻り中心部を経由して郊外の空港へと抜ける、初日に使ったルートの逆順となります。まあ見てわかる通りめっちゃ遠回りなんですねこれ。
そこで登場するのがピンク矢印のルート。まずは毎度お馴染み地下鉄11号線で深圳宝安国際空港へ。ここからは香港国際空港へと向かうフェリーが出ているとの事。これに乗って一気にショートカット、さっさと楽して帰ろうと言う算段。

で、問題となるのはここが中国であると言う事。ただでさえ言葉の違う外国で情報の入手に難がある上、発展著しいこの国ではどんな変化が起きているか分かりゃしない。情報の更新が追い付いていなかったが故に帰国直前のタイミングで不測の事態に巻き込まれて飛行機乗り遅れ、と言う一番考えたくない事態も十分考えられるでしょう。そんな訳で今日のうちに退路を確保しておこう、と言う方針を決定した訳です。

この日の行動開始は9時半ごろ。恐れていた月曜日がやってきてしまったので教授へ体調不良です!今日無理!!とメールをぶん投げる。これで昨年の台湾に続いて前科二犯。ロクな死に方をさせてもらえなさそうな気がしてきた。
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ところでこれホテルの部屋にあったソファーなんですけど、完全にジャングル・リベンジ………。

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けたたましいクラクションの海にも若干慣れが出てきた気がする。
…気がするだけで恐らく内心やられてはいる。

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今日も沙井駅から11号線に乗る。
駅の雰囲気、ちょっとつくばエクスプレスを彷彿とさせるような?

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まだ開通して数年と言う事もあり駅構内は綺麗な上にめっちゃ広い。
どの路線乗ってもフルスクリーンドア完備(昨日の広州地下鉄もそうだった)だしホームも駅構内も広いし、この頃になると中国のとことん余裕を持ったインフラ整備を心底羨ましく思うようになっていた。土地も金も有り余ってそうだもんなぁ………。

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深圳宝安国際空港もまた街はずれにある。そんな訳ですんなり到着。
屋根が特徴的な造りをしていて面白かったんですがまたしても写真を撮っていない…。開放的でめっちゃ綺麗。

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なんかどこかで見かけた様なテナントが入居していた。
ただいま日本。

結構空港の中は広い。歩き回ってようやくフェリーの案内所を見つける。
早速問い合わせを始めるのだがまあ案の定上手く行かない。二人揃って今日も中国の手痛い洗礼を食らう事となる。
飛行機に丁度よさそうな便の時刻を予め下調べしていたのでチケットの購入を申し込む。が、そんな便は無いとの回答。どう言う事???何度見ても時刻表には僕らの乗りたい10:15の文字が記されているのだが………。
これ以外の飛行機に間に合う便だと香港国際空港へとんでもない早入りをする羽目になる。これはさすがにつらい。と言う事ですぐ隣のバスカウンターへ転げ込む。
が、今度はなんか英語がイマイチ通じてない。ここ国際空港だよね???後輩は香港国際空港までの所要時間を聞いているのだが帰って来る回答は運行間隔。違うそうじゃない。
最終的に筆談によって知りたい情報が得られたがなんと所要時間は2時間。フェリーよりもよっぽど時間が掛かる上に渋滞に巻き込まれるリスクもある。これはよろしくない。

こうしてフェリーの案内所とバスの案内所の間を反復横跳びしている内に30-40分が経過。Elecrowのオフィスを訪問する約束の時間が迫ってきてしまい、ひとまず帰国ルート確保は棚上げとして空港を離れることとした。
再び11号線に乗車。一駅目の碧海湾駅で降りる。10分程の徒歩移動で1号線西郷駅/西乡站、戻る方向へまた一駅地下鉄に乗って固戍駅で下車と言う移動を行う。
が、初っ端空港駅の改札をくぐったところでセキュリティーチェックに引っかかる。X線検査機を抜けたところで係員に呼び止められるが相変わらず何を言われてるのかさっぱり分からない。
困っていると奥から別の係員が出てくる。「カバンに入ってるペットボトルを見せろ(英語)」と言う旨を話しかけてきた。何だかんだ言いつつもやっぱりここは国際空港!とちょっと感激。中身はただの水なので問題なく通過。この後もペットボトルは度々改札でのセキュリティーチェックに引っかかったが、この時の一件があったお陰で全てスムーズに対処することが出来た。

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そんなこんなでElecrowの入居している(※2017年2月当時、現在は移転済み)工業団地へ到着。
…したは良いんだけど雰囲気が滅茶苦茶怪しい。ここ本当に日本人入って大丈夫か???

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恐る恐る中へ踏み込む。建物内の階段も古い団地のそれっぽい雰囲気。日本ですらああ言う階段ちょっと警戒しちゃうのに中国でこれ登らなきゃいけないのは大分つらいぞ。

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今すぐにでも帰りたいオーラ全開で登って行くと…

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あった!!!!!見慣れたロゴのオフィス!!!!!
ここが深圳市易科诺科技发展有限公司(Elecrow)だ!

今回は後輩が発注した基板の受け取りが目的だったのだが、なんとオフィス内部を案内して頂けるとの事。ここでの対応は中国語ではなく英語(+一部日本語)でして頂けたのだが、ぼくは英語のリスニング能力ですら壊滅的なので理解度に関してはお察し下さい。(⇒参考記事)
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出荷製品を箱詰めするスペース。自分もElecrowには二回ほどお世話になっているので、それらはまさにこの場所から箱詰めされて手元へ届いたことになる。はるばる旅してきたんだなぁ。

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奥には様々な部品が眠る倉庫スペース。

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Elecrowは基板製造だけを行っている訳ではなく、様々な基板モジュールなども製造販売している業者さん。そんな訳でオフィスの片隅にはリール部品などが多数鎮座した作業スペースが広がっていて、実装作業を行っている風景を見せて頂くことが出来た。

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図面片手に作業する方の目の前にはチップ抵抗(コンデンサ?)が多数。自分でもやってる作業ではあるけど仕事としてやるのは大変だなぁ。

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そのまた隣には注文の処理やデータチェックをするスペース。こういうちょっと雑然とした雰囲気大好き。

大体Elecrowのオフィスには1時間程滞在。細かく説明をして頂きながらくまなく見学させて頂きました。本当にありがとうございました!
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去り際にはこんなお土産まで頂いてしまいました(帰国後に撮影)。最高過ぎる。

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帰りはエレベータで下る。なんか操作盤から若干の手作り感が感じられる様な…。中に基板とか抵抗とか色々見えてるし。
これを見ながらワイワイ話していたらElecrowのスタッフさんには完全に怪訝な目で見られてしまい。なんかすいませんでした。

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ひとまず固戍駅に戻って駅構内で昼食。
美味しかったのは良いんだけど料理の名前を全く覚えていないのはもはや恒例行事。もったいねえ。

用事がひと段落したところで帰国ルート確保の件を再び考え始める。先ほどの様子だと空港からのフェリーは選択肢から外さざるを得ない感じ。さてどうするか。
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ここで出てくるのがより都心に近い箇所にあるフェリー乗り場、蛇口港。海上にここから多数の点線が引かれていることに地図を眺めていて気付いていた(と言うか当初からこちらから乗るものだと思い込んでいた)ので、こっちじゃダメなの?と提案。地下鉄の駅目の前がフェリー乗り場の様なので再び移動を始める。

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この日は写真の撮り方がどうも中途半端で移動経路がよく分からない。
恐らく固戍駅→(1号線)→前海湾駅→(11号線)→後海駅/后海站と思われるがはてさて。

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(写真を見事に撮り忘れたのでウィキメディア・コモンズより拝借.)
2号線の行き止まり、ほぼ終点の蛇口港駅まで乗車する。行き止まりなだけあって人がどんどん居なくなっていく。
蛇口港で下車すると確かに目の前にフェリーターミナルがある。が、明らかに営業していない。人気が全く感じられないし入り口はシャッターで固く閉ざされている。どう言う事???
よくよく駅前の見渡すとロータリーにシャトルバスらしきものが停まっている。案内表示の中国語からなんとかニュアンスを読み取ろうと試みるが、どうもフェリーターミナルが移転しているらしい。聞いてないぞ!
ひとまずバス車内に吸い込まれる。厳重な荷物検査こそないけどここでも乗り場に保安要員が張り付いている。こわいこわい。

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真新しいフェリーターミナルの地下駐車場にシャトルバスが停まる。降りると建物入り口前で保安要員に全員そろって止められる。5分程待つと最前列の規制線(?)が解かれてそのまま入館。これは………何???

何はともあれようやく蛇口のフェリーターミナル窓口に辿り着く。ここなら1時間おきくらいに香港国際空港までのフェリーが出ている
ところで中国国内ではVISA・MasterCardのような国際ブランドのクレジットカードは加盟店舗がほぼほぼ無いらしく使えない。銀聯カードのような中国国内向けカードを持っていない限り、僕たちのような外国人は現金を用意するより他ない。
が、ここのような国際フェリーターミナルではさすがにクレジットカードが通用すると聞かされていた。結構このフェリーの運賃はお高い(260人民元=4,000円超, 現在はさらに値上げされてるらしい)ので、両替額を減らして持ち歩く現金を少なくできるのはありがたい限り。

………と考えていたのですが。
僕は聞いてしまったのです。目の前でチケット窓口の姉ちゃんが「クレジットカードは使えねえぞ(英語)」とVISAを提示した後輩に向かってハッキリ口にしたのを。
待ってぼくクレジットカード使えるの前提に行動してたから全然人民元の手持ち無いんだけど!!!!

しかし後輩は慌てない。彼は中国国内の銀行に口座を作っていたので銀聯カードを所持している。これならどうよとカウンターに提示する。
窓口「NO! CASH ONLY!
後輩「…ATMとか無いんですか(英語)」
窓口「NO ATM!

………もう何にも出来ない!おわり!終了!
なーにが国際フェリーターミナルじゃどうしようもないじゃねえかこれ!

後輩はこの後の華強北で買い物を予定していた関係か人民元の手持ちがまだ有ったのでひとまず明日のチケットを購入。しかしさすがに2人分の現金などある訳がない。さあどうするか。
ぼくの財布の中には1万円札と100香港ドル札が一枚ずつ。一応両替所はあるのでこれを使えば人民元は手に入るが、こう言う場所の例に漏れず交換レートは極悪。一部両替と言うのは出来ないらしいが、さすがにここで1万円札を丸々突っ込むのはためらわれる(なんで来る前に崩しておかないかなあ)。
そんな訳で選択肢が無いので100香港ドルを崩す。しかしこれでも260人民元には微妙に足りない。仕方がないので後輩がチケットを買ったお釣りもありったけ貸してもらい、どうにかこれで必要な額が揃い自分もフェリーのチケット購入に成功。ようやくこれで帰国に向けた退路が確保出来た。 異国の地で2人合わせても50円程度しか持ってない旅行、限界が過ぎる。

この一連の出来事には相当肝を冷やす羽目になったが、帰国前日の出来事なのでまだどうにかなった。まさか帰国へ向けた退路の確保に半日以上を費やすことになるとは。これを飛行機へ乗る直前にやられたらいくら落ち着き払っていたって乗り遅れかねない。中国に限らず、帰国時によく知らないルートで空港を目指そうとするときは下見しといた方が絶対良いと思います。マジで。
この国際フェリーターミナルで詰んでしまい行き倒れた外国人とか居るんじゃないの、とか冗談を度々言ってるけど詰んだ人は本当に居そうだから困る。

目的を果たしたので再び蛇口港駅に戻る。この日は深圳地下鉄の一日フリー乗車券を使って移動していたので、全所持金3元まで追い詰められても幸い地下鉄移動だけは好き放題することが出来る。
少々都心寄りの駅まで移動してからATMに駆け込み、前述の銀聯カードを使って当面の活動予算を確保する。現金の入手手段が無い自分もこのお金を貸してもらいこの後の活動を行うことになった。

この日最後の目的地、華強北駅は蛇口港駅を通る2号線の駅。多少遠回りにはなるが、席に座ることを優先してずっと2号線に揺られていた…ような記憶があるけど乗り換えの記憶を忘れているだけかもしれない。
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と言う事で、紆余曲折あったけどついに辿り着きました。世界一の電気街・華強北!
写真の建物は最初に入った華強電子世界/华强电子世界。この建物の中に電子部品を売る専門店がびっしり収まっていて、上層の5-6階はLED専門店専用エリアとなっているっぽい。LEDだけで専用フロアが組めるとか意味が分からない。どんな規模よ。
もうこの建物だけでも相当びっくりなんですが、やっぱり日本とはスケールが違うのが中国。これと同じくらいの規模をした建物が近隣に10棟とか20棟とか平気で建ってる。マジで意味分かんねえ! 中国入国以来人民のパワーやインフラ整備の速さ、その余裕を持った作りに圧倒されっぱなしだった自分ですが、ここにきていよいよ圧倒されたと言うか、ある種心が折れるような思いがしました。こんな圧倒的物量で襲いかかってくる国がすぐ隣にあってまだまだ成長真っ盛り、そんな国と戦ってかなきゃいけないのかと。いや無理でしょこんなん。
案の定この辺りも道めっちゃ広い上に歩行者専用だし(もはや広場では)、なんか街のど真ん中なのにドローンとかラジコン飛行機を飛ばしてる人もいるし。政治体制的には何かと言われがちな中国ですが、こう言うとこはある種日本よりよっぽど自由な気がするし開放感があって良いなあ………

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華強電子世界の6階から下層部を眺める。秋葉原のヨドバシカメラくらいありそうな規模のビルにびっちり電子部品専門店が詰まっている。
この建物の中だけでも写真を撮りたい光景がそこかしこに広がっていたのですが、建物内の写真撮っていたら公安に捕まり連行と言う例が有ると聞かされて断念。周囲をきょろきょろしながらこの一枚をさっと撮影するのが精いっぱいだった。

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3件か4件ほど建物を回るともう18時。この時間になるとさっさと店は閉まっていく。健全でいいなぁ。
営業時間が健全なのも良いし、遅くまで開いているといつまでも部品屋探検が出来てしまうのでそろそろ足が死んでしまう。駆け足気味ではあったものの、秋葉原とは到底比べ物にならない巨大電気街を垣間見ることが出来、大変満足できる午後のひと時となった。

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華強北を離れてホテルへと帰る道すがら、晩ご飯を求めて1号線の華僑城駅/华侨城站で降りる。中国の地下鉄では駅名英語表記は基本的に現地語発音ではなく英訳となっているのだが、ここ華僑城駅の英語表記は「OCT Station」。OCTって何…???と思い調べると「Overseas Chinese Town」の頭文字だそうな。言われてみればなるほどなぁ、と言う感じだけど初見じゃ分からん。

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中国のメシの安定感は最高だなぁと思いながら炒飯と麻婆豆腐を貪り食う。広東省に居るのに何で四川料理食ってるんだよと言うツッコミは厳禁である。
相変わらず注文等は中国語必須なので後輩に全てお願いする形となった。今晩はメニューを見ながらテーブルで注文なので昨晩よりかは幾分マシか。やっぱり中国語読める話せる聞けるようになりたい、と思う一日となりました。

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22時過ぎにホテルへ帰着。初の中国訪問最後の夜が過ぎ去っていきました。

<4日目・最終日へ続く>

◆ この記事の続き
Elecrow製基板現地受取に付いていって人民パワーに圧倒された話(その4・完) (2017-11-30)