明けましておめでとうございます。今年も移動続きのろくでも無い一年になる予感しかしていませんが自分の明日はどっちだ。
台湾・阿里山突撃ツアーのお話もいよいよ終盤戦。

絶対にやらかしてはいけない台湾ツアー120時間に行ってきた話(その2) (2018-10-8)
絶対にやらかしてはいけない台湾ツアー120時間に行ってきた話(その3) (2018-11-4) 
絶対にやらかしてはいけない台湾ツアー120時間に行ってきた話(その4) (2018-11-18)  
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【2018.9.18 4:00 @ 嘉義県阿里山郷】
全体的に朝が早めな今回の旅程の中でもこの日はとびきり早起きである。前夜はなんだかんだで風呂に入ったりしていたら22時半頃まで消灯しなかったことも有り、全員死にそうになりながら布団を這い出す。

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何故そんなにも早起きをするのかと言えば日の出を見に行きたいからである。阿里山駅から祝山線に乗り込み、終点からしばらく歩くと展望台が存在する。そこからは台湾最高峰・玉山の向こうから昇る太陽と言う雄大な景色を眺めることが出来るんだそうな。現在地は既に標高2,100mを突破しているが、ここからさらに標高を稼ぎ展望台ではほぼ2,500mに達することになる。

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そんな高山の山奥ではあるが変わらずに営業しているコンビニでまずは買い出し。実家のような安心感。
なお、今回組長は見事高山病にやられてしまい残念ながら宿でそのままお留守番となった。もう一人、れこも何だか昨晩に引き続き様子がおかしいがこちらは気合で宿を這い出していた。

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4時30分、阿里山駅着。なんとか始発に間に合う時間に辿り着くが既に車内は満員電車の様相。改札を通してもらえず、続行便で祝山を目指すこととなった。

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まだまだ暑さが厳しい台湾。しかしここは何度も言うように標高2,000m超の高所である。
肌寒さを感じながら列車の入換作業を眺めていた。

ガラガラの車内も次の沼平駅に待っていた人々で一気に席が埋まる。ド平日ですらこの有様である。観光地と言うものは何処の国でも休日は恐ろしい騒ぎなんだろうなぁ、などと思いながら薄暗い明かりが車内を照らす列車に揺られる。

【2018.9.18 5:12 @ 嘉義県阿里山郷 祝山車站】
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到着。

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名前の通り、元は切り出した木材を運び出すための鉄道であった阿里山森林鉄路であるが祝山線だけは生い立ちが違うらしい。この後目指すご来光を眺める展望台へのアクセス路線として1970年代に建設された純粋な観光鉄道なんだとか。
そんな訳でこの路線は朝しか動かない。改札口にも掲示されている通り、この日の最終便は6時45分発。台湾で最も早く動き出し、最も早く店仕舞いをする路線と言う事になるだろうか。

まだ真っ暗な中ではあるが、祝山駅前は大量の出店で賑わっている。寒さに耐えられないから、と温かい食べ物を捜索に出かけていくたっぺー。
たっぺーから食べ物(おでんの様な感じだった気がする)を略奪しつつ展望台目指しててくてく歩く一行であるが、やっぱりなんだかれこの様子がおかしい。地味な急坂が続くがちゃんと辿り着けるのか?

ペースを合わせつつ15分ほど歩くと目的地、小笠原山観景台に到着。
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眼下に広がる見事な雲海。
日の出を30分後に控え、高層の雲は茜色に染まりつつあった。
思わず「うわすっげーこれ…!!!」などと声に出してしまっていたが、近くにいた女性から「こんなところに同じ日本人が居るとは思わなかった…」などと笑いながら話し掛けられて大変恥ずかしいことに。

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先ほどは温かい食べ物を求めてすっ飛んでいったたっぺーを見てゲラゲラ笑っていた自分だったが、日の出時刻が近づくにつれて段々と寒さに耐えられなくなってきていた。高所だから寒い点については予定の打ち合わせをする中で散々言及されていたが、「まあ1枚長袖持って行きゃ何とかなるやろ」くらいにしか考えていなかったのでこの有様。

まあそんな状況だったので陽の光の暖かさを感じられた時は本当に嬉しかった。
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2018年9月18日、朝6時01分。
台湾の旅4日目の始まりである。

早起きは三文の徳。そんな言葉が脳裏を過るさわやかな異国な朝。
そんなのんびりとした時間を過ごしていたのだが、なんだか隣のオタクの様子がおかしい。 「雲海を床として認識してくれる!雲の上にウサミン立たせられるじゃん!」
「滅茶苦茶神々しくないすかこれ、後光差してるし」
爆笑した。外国に来てまで何してんだお前は!

しかし自分も大概馬鹿なのですぐに真似をしたくなる。二人でゲラゲラ笑いながらAR機能で遊び倒していたが周りは揃いも揃って「何やってんだこいつらは……」と言う顔。まあそりゃそうだ。 

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あんまり展望台に長居すると朝っぱらから終電を逃す事になるので急な下り坂を駅へと引き返す。
足取りも軽く坂を下っていくれこ。それを眺めながら「ルンルンガール」などと言い出す誰か(恐らくたっぺー)。ゲラゲラ笑っていたらいつの間にか再び力尽きているれこ。本格的に大丈夫か。

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さて無事に祝山駅前へ辿り着くが、まだ列車までは少し時間がある。
ここからでも景色はそれなりに楽しめるので雲海をぼんやりと眺めていると、何故か雲海を背景にきららジャンプに挑み始めるたっぺーとFND。それをゲラゲラ笑いながら写真に収めるおでんとれこ。
ここまでは良かったのだが、この様子を見た地元台湾の人達がきららジャンプを真似し始めるのを目撃してしまう。祝きららジャンプ台湾進出。一同大爆笑。

一通り遊んだ後もう少しARするか……と粘り始めるが「もう終電出るから💢💢💢」と怒られ断念。残念無念。

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6時45分、定刻通りに終電で祝山駅発。

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行きは真っ暗闇の中だった祝山線であるが、今となっては一面の森の中を突き進む楽しい観光路線。阿里山駅まではおよそ30分の道のりだが、ずっとシャッターを切って遊んでいたような気がする。

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7時13分、阿里山駅帰着。ひとまず宿に引き返して朝食。

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【2018.9.18 9:12 @ 嘉義県阿里山郷 阿里山転運站】
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さてなんだかんだでもう9時である。朝食が別のホテルに出かける食事券方式だったこともあり時間が掛かってしまった。
てくてく歩いてバスターミナルを目指す。昨日の到着時とは打って変わってとことんいい天気である。

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さて昨日は麓の街・嘉義から阿里山森林鉄路とバスを乗り継いでここまでやって来たが、本日の下山は全行程がバスである。
台湾のバスはここまでも散々洗礼を受けている通り、割とアグレッシブな運転をする事が多い(オブラート)。初渡航時に九份からの帰りに乗ったバスで「なんでこんなにバスが峠道攻めるの!!!」って全員で叫ぶ羽目になったのも今は昔である。

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しかし今回はとにかく乗車距離が長い。阿里山を出てから奮起湖を経由して高鐵嘉義駅への全行程は90km超、そのうち約60kmが見るのも嫌になる九十九折の道と言う地獄巡りの様相。行きはよいよい帰りはこわい。
地図上の「番路鄉」と書かれてる辺りが山道エリアの出口であるが、どう見てもここから東側に全行程の2/3が押し込められている様には見えないし恐ろしい話である。

とにかく自分はバスに弱い人間なので「まあダメだろうなー……」とは思っていたが奮起湖駅に辿り着くよりも前にやられて死んでいたのでどうしようもない。奮起湖駅では15-20分程度停車するため、外の空気を吸いに出る人が居たりとみんな思い思いに動いている様だったが、自分は死人よろしく最後部座席に横たわっている事しか出来ず。
このバスでの長旅、高山病にやられてさっきまで死人の様な顔をしていた組長が一番元気にしていたのでホント人間って分からない。

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阿里山のバスターミナルを出たのが10時10分、遠くに平地が見えてきたのが11時50分と約2時間も峠道を飛ばしまくるバスに揺られていた事になる。この月は開幕から深夜バスで東京まで出かけて案の定やられる羽目になるし、ホントロクな目に遭っていない。

そして平地に降りると同時に客を乗せたまま給油開始。初めバス停に入ったのかと思ったらなんか様子がおかしい……とキョロキョロしてしまったが真実に気付いた瞬間全員で爆笑。日本の長距離夜行バスでも給油しててもおかしくは無い様な気もするが、知らないだけで実は気を失っている内に同じことをしていたりするんだろうか?

給油を終えたバスは順調に平地の道をかっ飛ばし、同時に片道1車線、片道2車線、高速道路とどんどん走る道のグレードが上がっていく。川と同じで道も海に近づくにつれて太く大きくなっていくんだねー……と謎の感慨に耽っていた(完全にやられている)

【2018.9.18 12:50 @ 嘉義県太保市 高鐵嘉義站】
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おつかれさまでした。

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相変わらずやられまくって死にそうな顔をしては居たが、列車に乗る前に昼食を取らねばならない。とはいえ街はずれにある駅なので大して選択肢がある訳でもない。そんな訳で駅構内に入居しているモスバーガーへと吸い込まれていく一行。マクドナルドにも行ったし今回はハンバーガーに縁のある遠征である。

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ここのモスバーガーは店頭に設置されたタッチパネルでオーダーを決めてレジで会計を行う方式だった。そして普通に英語で対応してくれる店員さん達。しゅごしゅごである。なお僕の英語力。ホントごめん。

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さあ、いよいよ今回の旅の最終目的地・高雄を目指す時である。

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外見も車内もおなじみ700系新幹線そのものな700T型電聯車、車窓を見ればちょっと植生が南国チックな点を除けば水田が広がる日本っぽいの田園風景。ついでに昼メシはモスバーガー。実は自分は海外旅行に出かけていると思い込んでいる精神異常者でここは日本なのではなかろうか?と馬鹿な事を考え始めてしまう。

【2018.9.18 14:26 @ 高雄市左営区 新左營車站】
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ついにやって来たぞ台湾南の玄関口。

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ひとまず宿を目指すべくMRTに乗り継ぐ。
この高雄捷運には「高捷少女」と言うマスコットキャラクターがおり、あちこちにパネルやら電車へのラッピングやらの展開がされている事で一部に知られている。
おでん君もこの高捷少女が好きな一人であり、明日は台北・桃園空港から帰ると言うのに「その手のICカードが欲しいがためにここまで来た」とか言い始める始末だから重症である。どうせ元取れねえんだよなぁとか言いつつ捷運の改札階まで降りるなり高捷少女柄の一日乗車券を買い始める。オタクはちょろい。
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紅線を美麗島駅で降りる。 宿まで再びてくてく歩いていくがとにかく暑い。先ほどまで阿里山の気温10℃台前半の世界で過ごしていたモンだから余計に身体に堪えるものがある。全員死にそうになりながら宿に荷物を放り込む。

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荷物を放り込んでから再び美麗島駅に戻り移動開始。

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一つ隣の信義國小駅まで橘線に乗ってからまた歩く。広い道には溢れんばかりの原付バイク。
何だか様子がおかしいと思ったら交差点のど真ん中でバイク同士事故を起こして警察が介入しているところを見かけた。この台数と密度ではさもありなん。

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さてやって来たのはこの怪しげなお店である。ここに何をしに来たのかと言うと……


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これを探しに来たのである(2018-4-8 台湾桃園国際空港)。
中国語圏の街中ではとにかくよく見かけるこの「小心地滑」看板。デイリーポータルZにも個別記事が起こされていたり、一部に謎の人気を誇るが自分もそんな一人である。一体何に使うんだか謎でしかないが、自分はとにかくこの看板を日本に持って帰りたくて仕方なかったのである。

多分ホームセンター的なところ行けば売ってるっしょ?と思い立ったのは良いが、調べていくと台湾にはホームセンターの様な形態の店舗はどうも無いらしい。工具店などをキーワードに探していき目星を付けたのがこのお店だった訳だが、果たして本当に売っているのか?

頭上の案内看板に気付かず倉庫エリアに侵入してしまい「そこには入らないで!」と怒られたりしつつ、意外と広い店舗内を探していくと街中の路側帯でよく見る「請勿停車」のバリケードが陳列されているのを発見し一同大爆笑。これ絶対置いてあるだろ!

結論から言うと、この店には確かに小心地滑の立て看板が売られていた。しかし今自分の手元にその看板は無い。何故か?
まずは手持ちの現金残額がかなり厳しかったこと。今回の渡航ではギリギリの額しか台湾ドルに換えていなかったため、ここでネタに走ってNT$250を吹っ飛ばしてしまうと最終日がエラいことになることが予想されたのだ。
もう一つ、これを日本に持ち帰る手段が有るかどうか怪しかったこと。この看板、中途半端に大きさがあるのでリュックサックへ放り込むことが出来ず、機内持ち込みをするにも恐らく制限に引っかかると思われた(と言うかこんなものを持って搭乗したくねえ)。預け入れをするにしてもかなり手荒な扱いを受ける印象があり、回収する頃には普通に破損しているのでは?と不安だったのだ。

結局散々悩んだ挙句、捜索に付き合っていただきつつも自分は買い物をせず、FNDが破損したキャリーバッグの修理用にダクトテープを購入したのみで終了。申し訳ないことをしてしまったな……と反省。
ところでこの小心地滑の件には後日談があったりとかして、 数か月後に中国渡航を行ったおでんくんが上海市内にてホテル向け用品店を発見。ここで小心地滑の看板を仕入れ、包装無し丸裸のまま地下鉄に乗った挙句預入荷物に放り込んで普通に帰ってきてしまったのである。意外と行けちゃうんだね……
次回からは両替はもう少し余裕をもって行いましょう。

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この後は一旦個別行動を挟みつつ、西子灣駅へ移動する。近隣のフェリーターミナルから渡し舟に乗り、旗津老街を通り抜けた先で夕焼けを見ようと言うプランである。

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が、渡し舟に乗ってる地点でもう景色はこんな感じ。完全に夕焼けどころではなく夜景を楽しもうコース。思い付きで行動してるからこういう残念な事になる訳だが、旅行中ほぼほぼ思い付きで行動している割に大抵何とかなってしまっていてむしろこういう事態になるのが珍しいと言うのは良いんだか悪いんだか。

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しばし旗津老街を散策する。ここもこの時間になると屋台が展開し始めるが規模は小さく、我々の様な観光客向けと言うよりは地元民向けな雰囲気である。

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50嵐で飲み物を購入したりしつつ、再びフェリーターミナルから市街地へと引き返す。

一旦美麗島駅まで引き返す。大部分はごはんの前に一度宿へ戻ると言う事だったが、自分はもう動きたくなかったので駅の構内でしばし休憩とする。
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美麗島駅と言えば有名なのがこの光之穹頂と名付けられたステンドグラス作品。いつ行ってもこの空間には座り込んで休憩したり、写真を撮る人の姿がある。まあ自分もその一人な訳だが。
ここで休憩していたのはこの作品を眺めていたかったのに加えて、もう外の暑さに耐えられなかったので少しでも涼しそうなところで休んでいたかったからなのだが、いざ外に出てみると駅構内の方がずっと暑いと言うとんでもないオチが付いた。これちゃんと空調使ってくれてる?????

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さて、今回の渡航最後の晩ごはんは六合觀光夜市である。高雄市最大の夜市と言う事だが、片道2車線の道を目一杯封鎖して広げられた空間が延々と続いており、ここまで台湾で見てきた夜市の中でも一番スペースに余裕が感じられる。 そしておでんくんおススメの炒飯屋台に吸い込まれる。看板に描かれた絵は恐らくこのおじさんの似顔絵なんだろうが激似で草を禁じ得ない。この屋台、傍から見ていて本当にクッソ雑に炒飯を作っているようにしか見えないんだが非常に美味しかったのでとても不思議である。この炒飯を食してからと言うものの、帰国してからこの味を真似しようとするチャレンジャーが数名出現することとなったのはまた別のお話。

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……ところで今気付いたけど"東港"って彼が散々苦しむ原因になったところでは???

ここで終わらせておけば普通の旅行なんだが例によって余計な事を始めるのが我々。ゲーセンに入るなりアイカツのポップを見つけた某が大声で叫びながらすっ飛んで行ったのにはちょっと他人のふりをしたくなる。 各自jubeatをしたりメダルゲームをしたりして遊んでいたのだが、なにやら店員さんに詰問を受ける。全員何を訊かれているのか分からずに居ると立ち去ってしまったので遊戯を再開するが、しばらくすると今度は5人ほどの集団でやってきて再び詰問が始まる。何事?!
しかし今度は英語が話せる方が一緒。よくよく話を聞いてみると、「もう深夜だから全員年齢確認出来るものを出してくれ」と言うだけの事であった。台湾だからまだ良いけど中国大陸で同じ展開になったら生きた心地がしなそうだ(これでも十分心臓には悪かったが)。パスポートを提示すると店員さん達は去って行った。

満足行くまで遊び倒して、近くのスーパーでお土産用のインスタントラーメンを買いこんだりしているともう23時。連日連夜クソ暑いのにまあ元気な事である。
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そして台北へと夜行バスで引き返すために一人高雄の夜闇へ消えていくおでんくん。
3日間お疲れ様でした。

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長かった台湾縦断の旅もいよいよ帰国を残すのみとなった。コンビニでお酒を購入し、FNDとたっぺーと3人ロビーで静かに無駄話。
ところでもう25時前だけど良いのか君ら。ぼくは高雄国際空港から帰るけどあんたら台北まで引き返してから飛行機なんだぞ分かってるのか。

なんだかんだこの日も疲れ果てていた。見事に水量設定を間違えて全く脱水出来ていない洗濯物を目の前に呆然としている自分など気にも留めず、高雄の夜は更けていく。

【旅程終了までのこり24時間】
<5日目・最終日へつづく>

◆ この記事の続き
絶対にやらかしてはいけない台湾ツアー120時間に行ってきた話(その6・完) (2019-1-7)